【3月20日 AFP】アルゼンチン政府が発表した大豆粉と大豆油の輸出停止をめぐり、サンタフェ(Santa Fe)州で大豆生産者から不満の声が上がっている。

 業界関係者によると、政府は大豆粉・油の輸出税率を現行の31%から33%に引き上げることを検討中だという。AFPの取材に応じたアナリストのダンテ・ロマノ(Dante Romano)氏は、輸出停止は増税実施前の駆け込みでの取引を防ぐことを目的としていると指摘。短期間なもので国際市場への影響はないとの見方を示した。

 同氏はまた、増税はあくまで政府の歳入増加が目的であり、大豆の輸出制限をすべきではないとも述べた。アルゼンチン政府は国際通貨基金(IMF)への債務返済に充てる資金を必要としている。アルゼンチンの農業団体は「生産者から奪い続ける余地はない」としてあらゆる増税に強く反対している。元代表の男性は「人々が食べていけるようにするためというならともかく、財政赤字を減らすことが目的ならば納得できない」と語った。

 アルゼンチンは大豆粉と大豆油の輸出で世界一。2021年には同国の輸出額の30%を大豆製品が占めた。ロシアによるウクライナ侵攻後の一次産品価格の上昇は、食料輸出大国のアルゼンチンにとって追い風だが、国内食品価格の上昇要因にもなる。すでにアルゼンチン国内のパン価格は上昇している。(c)AFP