【3月16日 AFP】ロシアによるウクライナ侵攻は、ウクライナに住むロシア人にとっても悲劇となっている。祖国を敵とみなし、戦うこともいとわない人もいる。

 ウクライナ人の間で、ロシアの巧言に対する怒りと反発が高まっている。だが、ロシア人のアンドレイ・シドルキン(Andrei Sidorkin)さん(40)は、ウクライナ人の隣人に拒絶されたのは、ウクライナ軍に入隊しようとした時だけだったと語る。

 ロシア第2の都市サンクトペテルブルク(St. Petersburg)出身のシドルキンさんは、15歳の時「ラブストーリーを求め」、ウクライナの首都キエフに移り住んだ。

 ウクライナで受け入れられてきたと感じているが、ロシア国籍のためウクライナ軍に入隊できずにいる。アゾフ大隊(Azov Battalion)など5部隊に志願したが全て断られた。

「ロシア軍がキエフに侵入したら、もろ手を挙げて受け入れるのではなく、手に武器を持って迎えるつもりだ」と語った。今は火炎瓶作りを手伝っているという。

 旧ソ連構成国で、ロシア語が今も広く話され、2004年と14年に民主派革命が起こったウクライナは、ロシアのリベラル派の主要な避難先となっている。

 カラフルなドレッドヘアの社会学者、サーシャ・アレクセーエワ(Sasha Alekseyeva)さん(32)は4年前、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領による権威主義的な体制に嫌気がさし、キエフに逃れてきた。

 ロシア軍がキエフに迫っているが、アレクセーエワさんは西部リビウ(Lviv)の親戚のもとに逃れた。「ここはロシアよりも安全だ」

 ウクライナの出入国管理局によると、1月末時点で在留許可を取得しているロシア人は17万5000人近くに上った。ウクライナ・ロシア間はビザが免除されているため、不法滞在しているロシア人も多い。

 ロシア軍の砲撃を数日にわたり受けたウクライナ第2の都市ハリコフ(Kharkiv)に住むコピーライターのガリナ・ジャビナ(Galina Zhabina)さん(36)は、「ロシア人であることがとても恥ずかしい」と話す。

「その後とても腹が立ってきて、戦車の前に身を投げ出そうと思っていた。でも戦車はこなくて、空爆されただけだった」