■故郷の崩壊願う

 英語教師のマリア・トルシュニコワ(Maria Troushnikova)さん(43)は、20年間ウクライナに住んでいるが、自分は常にロシア人だと考えていた。だが、今、そのアイデンティティーが危機にある。

「恥、怒り、ウクライナに感じる誇り…すべてが私の中にある」と述べ、ロシア人だということが空虚に感じると話した。

 侵攻を支持したり、ロシア政府を非難したりすることを避けるロシア在住の親族との関係が壊れたウクライナ在住ロシア人も多い。

 ジャビナさんは、親族の誰ともほとんど話していない。「友人は現実から目をそらし、家族はロシアに戻ってくるよう言う。なぜ私が戻りたくないのか理解しない」

 キエフで幼稚園を運営するユリア・クツェンコ(Yulia Kutsenko)さん(44)のモスクワにいる母親と姉妹は、ウクライナを支持している。ロシアではいかなる抗議活動も厳しく鎮圧されるということは分かっているが、それでもなぜ彼らが何の行動もしないのか理解できない。

「家族のことはとても心配しているけど、通りに出て(抗議をして)ほしい」

 クツェンコさんは今、自分はウクライナ人で、ロシアは「敵」だとみなしている。

 故郷が負け、崩壊することを願う人もいる。

 シドルキンさんは「プーチンだけが悪いと言うのは簡単だ。でも真実ではない」「私たちにはロシアという帝国神話を完全に解体する責任がある」と訴えた。(c)AFP/Ania TSOUKANOVA with Dave CLARK in Kyiv