【3月12日 AFP】ロシア軍は11日、ウクライナの中部と西部で戦線を拡大し、首都キエフに対する攻勢を強めた。

 ロシアが先月24日にウクライナに侵攻してから2週間余り。国連(UN)の推計によると、これまでに約250万人のウクライナ人が国外に退避したが、ロシア軍の攻撃が続く地域では多数の民間人が避難できずにいる。中でも、ロシア軍により12日間にわたり包囲されている南東部の港湾都市マリウポリ(Mariupol)の状況は厳しく、地元当局によると、11日までに1500人以上が死亡した。

 同日には中部ドニプロ(Dnipro)にミサイル3発が撃ち込まれ、靴工場が崩壊して警備員1人が死亡したほか、幼稚園の園舎も被害を受けた。人口100万人の工業都市ドニプロはこれまで、比較的安全な地域とみられており、人道支援の拠点や、東部の激しい戦闘から逃れる人々の避難先となっていた。

 地元当局によると、同国第2の都市である東部ハリコフ(Kharkiv)に近いオスキル(Oskil)村では、障害者施設が砲撃を受けた。死傷者が出たとの情報はない。

 さらにウクライナ西部のルツク(Lutsk)とイバノフランコフスク(Ivano-Frankivsk)では、ロシアが軍用飛行場を無力化したと発表。地元当局によると、この攻撃でウクライナ兵4人が死亡した。

 ウクライナは、ロシアが戦線を拡大したのは包囲する各都市の掌握に失敗したからだと指摘。ロシア側に過去24時間で「大きな進歩」があったわけではないと主張している。

 だが、首都キエフはロシア軍に完全に包囲される可能性があり、ミハイロ・ポドリャク(Mykhailo Podolyak)大統領顧問は同市を「包囲下にある都市」と呼んでいる。ウクライナ軍は10日、ロシアがキエフの西と北の防衛線を破壊して同市を「封鎖」しようとしていると警告。東郊のブロバルイ(Brovary)も進攻を受ける恐れがあるとした。(c)AFP/Dave CLARK with Liz COOKMAN in Dnipro and Chris STEIN in Washington