【3月9日 AFP】100年以上前に南極のウェッデル海(Weddell Sea)に沈没した英国人探検家アーネスト・シャクルトン(Ernest Shackleton)率いる探検隊の船「エンデュアランス(Endurance)号」が、同域の海底に沈没しているのが見つかった。調査隊を組織したフォークランド海洋遺産財団(Falklands Maritime Heritage Trust)が9日発表した。

 エンデュアランス号は1915年、叢氷(そうひょう)にゆっくり押しつぶされながらウェッデル海に沈没した。発見されたのは、水深3008メートルの海底で、沈没した海域から約6キロ離れていた。

 調査隊の責任者メンスン・バウンド(Mensun Bound)氏は「われわれは場所を突き止め、エンデュアランス号の画像を撮影できた幸運に圧倒されている」とコメントした。

 沈没船は、海底で垂直を保っており、保存状態も極めて良好だという。バウンド氏は「木造の沈没船としては今までに見た中で最も状態が良い」と指摘した。

 激しい渦流で知られ、最新の砕氷船すら脅かす海氷が漂う過酷なウェッデル海で、調査隊は水中ドローンを投入した。

 水中ドローンは、鮮明な画像を撮影。かじは100年以上も経過しているにもかかわらず原状を維持しており、まるでつい最近、探検隊が船を後にしたかのように船尾には装備が積み重なっていた。

 国際法により、この沈没船は水中文化遺産として保護される。調査隊に認められるのは撮影やスキャンだけで、船体に触れたり、海上に引き揚げたりすることはできない。

 1914~17年に計画された初の南極大陸横断を目指したシャクルトンの探検だったが、過酷な海況で知られるウェッデル海の餌食となった。エンデュアランス号は、海氷の中で動けなくなってから10か月後に氷に押しつぶされて沈没した。

 この難破劇は、探検隊が徒歩やボートを使って生還したことから伝説として語られてきた。探検隊は、海氷の上で野営し、救命艇でエレファント島(Elephant Island)を経由してサウスジョージア島(South Georgia Island)にたどり着き、全員生還した。(c)AFP/Griffin SHEA