【3月9日 AFP】ウクライナで8日、ロシア軍に包囲された北東部スムイ(Sumy)などの都市から、住民を避難する措置が取られた。

 ロシアは、スムイに加え、首都キエフや南部の港湾都市マリウポリ(Mariupol)、北東部ハリコフの計4都市から民間人を避難させるための「人道回廊」の設置に同意していた。だがウクライナは、用意された避難路の多くがロシアとその同盟国のベラルーシに向かうものであることから、ロシアの宣伝行為だと主張している。

 当局によると、ロシアとの国境に近いスムイでは、ロシアが正式に人道回廊の設置を宣言。住民がバスに乗り、南西方向にあるポルタワ(Poltava)州ロフビツァ(Lokhvytsia)に向け避難した。

 ポルタワ州の暫定知事は、数十台のバスがすでにスムイからロフビツァに向け出発したと説明。当局は、この回廊は中国やインドなどの外国出身者を含む民間人を避難させるためのものだとしている。

 スムイではこの前夜、アパートが空爆を受け、ウクライナの救助隊によると子ども2人を含む21人が死亡した。国連(UN)によると、ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、少なくとも474人の民間人が死亡したが、実際の死者数はこれよりも「かなり多い」とみられている。

  この日はスムイのほか、ロシア軍の攻撃が続くキエフ近郊のイルピン(Irpin)でも、非公式の経路を用いた避難が実施された。一方でマリウポリでは、ロシアが回廊を攻撃したとウクライナが非難した。(c)AFP/Dmitry ZAKS and Dave CLARK