■「片腎村」

 ヘラート郊外のサイシャンババザール(Sayshanba Bazaar)は、長引く紛争で自宅を追われた人が集まってできた村だ。貧困にあえぐ住民の間に臓器が金になるといううわさが広がり、これまでに数十人が腎臓を売ったことから「片腎村」の名で知られる。

 ある一家では、兄弟5人が4年間に次々と腎臓を売った。貧しさから抜け出せると考えてのことだったが、「借金は残っているし、依然として生活は苦しい」とグラム・ネビさんは傷痕を見せて言った。

 先進国と異なり、腎臓を売っても貧しいままのアフガン人ドナーには術後のケアが提供されないことも少なくない。マティン教授によれば、ドナー登録をする機関も、ドナーの健康観察を担う公共医療施設もアフガニスタンには存在しない。

 臓器提供の機会を求めて病院を訪れたアジザさんは、「子どもたちは通りで物乞いをしている」「私が腎臓を売らなかったら、1歳の娘を売らなければならなくなる」と涙ながらに訴えた。(c)AFP/Rouba EL HUSSEINI