【2月22日 AFP】フランスで17歳のハンターが発砲した流れ弾によってハイカーが死亡する事故が発生し、狩猟規制の強化をめぐる議論が再び大統領選の争点になっている。

 事故が起きたのは、森林が多い中部カンタル(Cantal)県オーリヤック(Aurillac)近郊。19日に友人と共にハイキングコースを歩いていた25歳女性に流れ弾が当たった。発砲したのは、イノシシ狩りに来ていたグループの17歳の少女で、16歳の時に狩猟免許を取得した。

「ジビエ王国」のフランスは、欧州で最もハンターの数が多い国で、仏猟師連盟によると、許可証を持つハンターが約100万人に上る。ハンターとその家族、支持者を合わせると、約500万人の有権者がいることになる。フランス全体の有権者は約4800万人。

 世論調査で大統領選左派候補の中でリードするジャンリュック・メランション(Jean-Luc Melenchon)氏は、週末と学校の長期休暇が「最も危険性の高い期間だ」として、この間の狩猟禁止を訴えた。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は25日にパリで開催される農業フェアを訪れる予定で、その際にこの問題についての見解を問われる可能性がある。

 仏紙ルモンド(Le Monde)によると、生物多様性当局の統計では、狩猟事故は2000年以降、3325件発生して421人が死亡している。

 フランスは狩猟期間中に特定の日を禁猟とする制度を設けておらず、狩猟を知らせる措置を取れば、期間中はいつでも狩りが可能。昨秋には、多くの学校が休みとなる日曜と水曜の狩猟禁止を求める署名活動が行われ、12万人分が集まった。

 マクロン政権は、伝統的な行事である狩猟を敵視するような発言を控えつつも、規制強化の可能性には含みを持たせてきた。

 フランスでは、狩猟が行われている場所を示すアプリケーションが開発されている。しかし、狩猟団体は、組織的な狩りを反対グループに妨害される懸念があるとして、導入に反対している。(c)AFP/Loïc VENNIN