【2月18日 AFP】国際原子力機関(IAEA)の調査団は18日、東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所から出る処理水の海洋放出計画に関する14日からの初回の安全性評価を終えた。評価は数年間にわたって行われ、4月下旬には最初の報告書を公表する。

 IAEAのリディ・エブラール(Lydie Evrard)事務次長は記者会見で、「処理水の海洋放出に関する日本の運営や規制についての計画をより深く理解するという調査団の今週の任務は大きく前進した」と語った。外部の専門家も加わった国際チームは、早ければ来年3月にも始まる見通しの処理水の放出に向けた初期段階の準備作業を検証したという。

 エブラール氏は、調査団は今回の視察で、水のサンプルを採取し、技術的な情報を収集したと説明した。

 2011年の東日本大震災で炉心溶融(メルトダウン)が発生した福島第1原発では、放射能物質を含む汚染水を浄化した処理水100万トン以上がタンクに保管されているが、容量は限界に達しつつある。

 IAEAは、他国の原発で同様の廃水処理が行われているとして計画を承認している。だが、環境や安全性への懸念から近隣諸国は強く反発しており、風評被害の払拭(ふっしょく)に長年取り組んできた地元の漁業関係者からも激しい抗議の声が上がっている。

 処理水からはトリチウムなどの放射性の元素をすべて除去できない。専門家は、これらが健康被害につながる証拠はないとしているが、反対派は放出計画の中止を求めている。(c)AFP