【2月18日 AFP】北京冬季五輪のフィギュアスケート女子シングルに出場したロシア五輪委員会(ROC)のカミラ・ワリエワ(Kamila Valieva、15)は、17日のフリースケーティング(FS)でミスを連発し金メダルを逃したが、厳しい指導で知られるコーチのエテリ・トゥトベリーゼ(Eteri Tutberidze)氏(47)は同情する様子をほとんど見せなかった。

 ワリエワは、禁止薬物陽性となったにもかかわらず、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に出場を許可されたことで、世界中の注目を集めた。また、15歳という若さから、周囲の人々、特にコーチのトゥトベリーゼ氏にも関心が集まった。

「氷の女王」と呼ばれるトゥトベリーゼ氏は、10代のロシア人スケーターを次々と世界トップクラスの選手に育成してきた敏腕コーチだが、その厳しい指導法に疑問を呈する声も出ていた。

 この日、演技を終えて動揺した様子でリンクから戻ってきたワリエワを最初に出迎えたトゥトベリーゼ氏は「なぜあきらめたの? なぜ戦いをやめたの? 説明して」と詰問。その後は、点数の発表を待つ間に泣き崩れたワリエワの肩に手を回す様子も見せた。

 同じくトゥトベリーゼ氏が指導するROCのアンナ・シェルバコワ(Anna Shcherbakova、17)とアレクサンドラ・トゥルソワ(Alexandra Trusova、17)はそれぞれ、金と銀メダルを獲得した。

 競技の終了直後、ロシア陣営では感情が高ぶる場面があった。トゥルソワは怒りをあらわにし「このスポーツが嫌い。もう氷上には行かない」と声を荒らげた。その後、落ち着きを取り戻したが、競技引退については否定せず、「今後についてはよく考えてから決めたい」と記者団に語った。(c)AFP