【2月17日 AFP】北京冬季五輪のフリースタイルスキー男子ハーフパイプに出場している英国のガス・ケンワージー(Gus Kenworthy)は16日、開催国の中国を批判することは「非常に現実的なリスク」があるため、同国に滞在している間は発言を控えていると明かした。

 2014年のソチ冬季五輪で銀メダルを獲得し、歯に衣(きぬ)着せぬ発言でも知られるケンワージーは今月初め、人権状況が「ひどい」中国での冬季五輪開催について批判。英BBCに対し「目に見える形で反対の姿勢を示すことで、少しは良い変化をもたらせるのではないか」とコメントしていた。

 しかし、30歳のケンワージーは中国に入ってから批判の声を抑えており、「とにかく大会を無事に乗り切ろうとしている」とAFPに語った。

 中国政府は五輪開幕前、大会期間中に当局を批判しないよう出場選手に警告していた。

 米国代表として2度の冬季五輪に出場した後、2019年末に英国籍を取得したケンワージーは「今は中国の言いなりになっている」と話した。

「今はただ、声を上げることに非常に現実的なリスクがあるように感じる」

「誰にも検閲されていない」ものの「慎重にいくことが良しとされている」と述べたケンワージーは、「なぜなのかはよく分かる」と続けた。

 それでもケンワージーは、帰国したら再び批判の声を上げるつもりだという。

「演技に臨み集中しなければならないから、まさにこの瞬間に事を荒立てたいとは思わない。だからそうやって、大会を乗り切ろうとしている」

「もしメダルを手に入れれば、そうでない場合より、大会後に声を上げる際に大きな影響を与えられると思う」 (c)AFP/Andrew MCKIRDY