【2月17日 AFP】英国のアンドルー王子(Prince Andrew)から性的暴行を受けたとして米国人女性が起こした民事訴訟は15日、王子が女性に和解金を支払うことで決着したが、英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)は、和解金額は1200万ポンド(約18億円)と報道。英国内では16日、怒りの声が上がった。

 和解の詳細は公表されていない。王子の代理人はAFPの取材に対し、内容に関するコメントを拒否した。

 デーリー・テレグラフによると、和解金の内訳は、原告のバージニア・ジュフリー(Virginia Giuffre)さん(38)への支払いが1000万ポンド(約15億円)、性的目的の人身取引の被害者を支援する慈善団体への寄付が200万ポンド(約3億円)となっている。原資の一部には、母親のエリザベス女王(Queen Elizabeth II、95)の地所から得られる収入が充当されるという。

 識者からは、最終的に英国の納税者が負担することがないよう、資金源の透明性確保を求める声が上がっている。

 英法律事務所ハワード・ケネディ(Howard Kennedy)のメディア専門弁護士マーク・スティーブンス(Mark Stephens)氏はAFPに対し、王子は和解したことで王室の尊厳をある程度保つことができたと指摘。しかし「王子は公務を堂々と果たすことは二度とできなくなるだろう」と述べた。

 アンドルー王子はすでに、軍の名誉職や「殿下(His Royal Highness)」の敬称を使用する権利を事実上剥奪されているが、大衆紙サン(The Sun)など一部メディアは今回の和解を受け、王子に公の場から完全に退くよう求めた。

 識者やSNSユーザーは、王子がジュフリーさんに会ったことがないと主張していたにもかかわらず、和解に同意した点を疑問視。ジュフリーさんが17歳の時に王子と一緒に写った写真があることを指摘する向きも多い。王子の弁護士は、写真は信憑(しんぴょう)性に欠けるとしていた。(c)AFP/James PHEBY