【2月16日 東方新報】中国では春節(旧正月、Lunar New Year)の連休(今年は1月31日~2月6日)になると若者も帰郷し、家族や親戚と食事を楽しむのが習慣。ただ、結婚をしていない若者にとっては「悪夢の期間」となる。家族や親戚から「早く結婚しろ」「せめて恋人ぐらいつくれ」と強く催促されるためだ。これを「催婚催恋」と呼ぶ。

 中国の平均初婚年齢は男性29.2歳、女性27.1歳。日本の男性31.0歳、女性29.4歳と比べると男女とも2年ほど早いが、日本と同様に晩婚化や未婚化が進んでいる。中国紙「中国青年報(China Youth Daily)」が未婚の若者2021人にアンケートしたところ、今年の春節で「実家に戻ったら催婚催恋をされた」と68%が回答した。

 北京市の29歳の女性会社員、劉(Liu)さんは春節に帰省した。コロナ禍の影響で3年ぶりに戻った故郷だが、「地獄で合宿をした気分だった」と振り返る。両親からは「いつになったら結婚するんだ!」と強く迫られ、特に母親からは涙を流しながら「頼むから孫を抱かせて」と懇願された。親戚の家を回ると、行く先々で「結婚をして親孝行をする気はないのか」と説教を受けた。再会した高校時代の旧友たちも既婚者が多く、夫や子どもの話が中心で肩身が狭かった。

 大学院を修了して25歳から働いている劉さんは「やっと仕事を覚えて、社会人として成長する時期。正直、都会の1人暮らしも楽しい。いま結婚して出産する気持ちにはとてもなれない」と嘆く。

 中国で1990年代以降に生まれた若者は「幼い時から豊かな世代」と言われる。経済は年々成長しモノがあふれ、大学に行くのは当たり前。20~30代になった今、自分で稼いだサラリーで高度消費社会を謳歌(おうか)している。

 一方、中国では結婚と同時にマイホームを購入するのが一般的で、激しい受験戦争で子どもの教育費は膨大となっている。結婚をすると収入の大半を住宅ローンと教育費に注ぎ込む日々となるため、結婚に二の足を踏む若者も多い。

 その若者たちの親世代の間では、今も「結婚して子どもをつくり、家庭を築いてやっと一人前」という伝統的価値観が根強い。「子どもに家庭を持たせ、親の責任を果たしたい」という思いは激しく、都会の公園ではわが子の手作り履歴書を持った親たちが「代理お見合い」をする光景が日常的。コロナ禍で交流が難しい最近は、親たちの「代理お見合いマッチングアプリ」も登場している。たいていは若者たち本人が知らないところで話が進み、インターネットでは「今年の春節で帰郷したら、1週間で6回お見合いさせられた」という書き込みも見られる。

 1人っ子が多い現代の若者は子どもの頃から両親に大切に育てられている。内心は「自分の人生。好きにさせてほしい」と思っていても、むげに親の要望をはねのけられない。ネット上には「被催婚互助会」(結婚を催促されている若者の互助会)というサイトもあり、互いに悩みを打ち明けている。

 アンケートによると、春節で帰郷した未婚の若者は「料理や掃除を手伝い、結婚の話題が出ないようにする」「とりあえず親の言うことをひたすら『はい、分かりました』と同意してやりすごす」「何とか話題をそらす」というパターンが多いという。どれも「時間稼ぎ」の対応で、根本的な解決策は見当たらない。急激な社会の変化と価値観の変化のはざまで、親と子の結婚バトルは今後も続いていきそうだ。(c)東方新報/AFPBB News