【2月14日 AFP】元警官や元軍情報部員の協力、米国からの資金援助、十分な食料と燃料──。カナダ政府の新型コロナウイルス規制に抗議して首都オタワで2週間にわたり座り込みを続けるトラック運転手らのデモ「自由の車隊(Freedom Convoy)」の参加者は、長期戦の構えを見せている。その組織運営は、まるで軍隊のように洗練されていた。

 議会議事堂の外では支援者グループが、トラック運転手らにコーヒーや卵とソーセージの食事を差し入れたり、寝床や温かいシャワー、洗濯サービスを提供したりしていた。その近くで子どもたちが遊び、親はたき火を囲んで暖を取っている。

「毎日ここに来てコーヒーを飲み、気持ちを支えてもらっている。精神的な支えだ」と、デモに参加するジョージ・ディック(George Dick)さんは言う。

 整備士のエリアン・ルノー(Elian Renaud)さん(18)は、午前4時からバーベキューを担当する。「軽食だけでなく、しっかりした食事が取れること」をデモ参加者は喜んでいると話した。

 オタワ警察のピーター・スローリー(Peter Sloly)本部長は「デモ隊は非常に洗練されている」と指摘。「州規模でも全国規模でも強力な組織運営能力を発揮している」 と語った。

■ベースキャンプ、露店も

 議事堂から数キロ離れた野球場にデモ隊のキャンプ地が設けられ、物資の中継基地となっている。バーベキューやサウナが提供され、食料や燃料が保管されている。仮設トイレもずらりと並ぶ。

 あごひげを生やし、小さな丸眼鏡を掛けたダニエル・ガニョン(Daniel Gagnon)さんは、プラカードやバナーを20カナダ・ドル(約1800円)で売る露店を出し、支援金を集めている。「運転手たちが必要とするものがあれば、何でもわれわれが調達する」

 カナダ当局はインターネット経由で集まった多額の募金を凍結したが、物資の寄付が殺到しているため、現場にほとんど影響はないようだ。

 ジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は11日、支援金の半分は米国から送金されたとの見方を示した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領やテッド・クルーズ(Ted Cruz)上院議員ら米国の保守層は、デモが始まって早々にトラック運転手を「英雄」「愛国者」などとたたえ、支持を表明している。

■元警官・兵士も参加

 オタワ大学(University of Ottawa)のマルセル・シャルトラン(Marcel Chartrand)教授は、トラックデモについて「米国内のグループから何らかの指示を受けているようだ」とAFPに語った。ただ、背後に誰がいるのか、何を目的としているのかなどは不明だという。

 新型コロナウイルス規制に反対しているカナダの現役・退役警官の団体「ポリス・オン・ガード(Police on Guard)」は、デモには元警官や元兵士も多数参加し、150人以上が「現場で活動している」と指摘する。

 カナダ騎馬警察(RCMP)で首相警護を担当していたものの、新型コロナワクチン接種義務化を理由に昨年辞職したダニエル・ブルフォード(Daniel Bulford)氏は記者会見で、首都における「大規模事案発生時の警護活動に伴う豊富な経験」をデモ主催者と共有し、「戦術立案」に役立てたり、当局との調整を支援したりしていると語った。(c)AFP/Anne-Sophie THILL