【2月11日 AFP】ロシア・エカテリンブルク(Yekaterinburg)の美術館エリツィン・センター(Yelstin Centre)は7日、警備員が20世紀初期の前衛芸術の抽象的な人物画にボールペンで目を描き込んだと明らかにした。警備員は器物損壊容疑で取り調べを受けている。

 落書きされたのは、同館に展示されていた伝説的芸術家カジミール・マレーヴィチ(Kazimir Malevich)の弟子、アンナ・レポルスカヤ(Anna Leporskaya)が、1930年代に制作した「3人の人物(Three Figures)」。昨年12月に、顔のない3人のうち、2人に目が描かれているのが見つかった。

 同作には7500万ルーブル(約1億1600万円)の保険がかけられていた。

 エリツィン・センターのアレクサンドル・ドロズドフ(Alexander Drozdov)センター長代理は「契約していた民間企業の警備員が目を描き加えた」と説明した。

 絵はモスクワのトレチャコフ美術館(Tretyakov Gallery)から貸し出されていた。返却後、修復されたという。

 エリツィン・センターの担当者はニュースサイトUra.ruに対し、警備員が目を描いたのは着任初日だったと話した。目的は不明。エリツィン・センター名入りのボールペンを使ったという。

 同センターは当初、職員の関与を否定していた。

 センターは12月末に警察に通報したが、被害額が推定25万ルーブル(約39万円)で「大したことがない」として、捜査は行われなかった。文化省が検察に苦情を申し立て、エカテリンブルク警察が「器物損壊」容疑で捜査を開始した。

 警備員の身元は明らかにされていない。

 器物損壊で有罪となった場合、罰金または3月以下の禁錮が科される。(c)AFP