【2月12日 AFP】ドイツの造船所で、世界最大級になるはずの大型客船が新型コロナウイルス禍で建造途中で放置され、悪夢のような存在となっている。

 バルト海(Baltic Sea)沿岸、ドイツ北部ウィスマル(Wismar)にある造船会社MVベルフテン(MV Werften)は先月、破産手続きを申請した。経営者側は新型コロナのあおりを受けたとしている。

 大型客船「グローバルドリーム(Global Dream)」の全長は、エッフェル塔(Eiffel Tower)の高さを少し上回る342メートル。完成すれば、定員は乗客乗員合わせて最大1万人で、世界最大級になるはずだった。船体には、宇宙飛行士や人魚などの派手なアニメーションタッチの絵が描かれている。

 MVベルフテンを所有するクルーズ船運航会社のゲンティン香港(Genting HK)はコロナ禍で資金繰りが行き詰まり、ドイツ当局もMVベルフテンの救済を見送った。

 グローバルドリームの建造費の推定総額は15億ユーロ(約2000億円)で、経営陣によると75%完成している。

 救世主が現れるのを待っているが、建造を続行するには6億ユーロ(約800億円)の資金が必要となる。(c)AFP/Florian CAZERES