【2月6日 AFP】男子テニス、元全米オープン(US Open Tennis Championships)シングルス覇者のファン・マルティン・デルポトロ(Juan Martin Del Potro、アルゼンチン)が5日、約2年半ぶりの公式戦となるアルゼンチン・オープン(Argentina Open 2022)について、「復帰というよりはお別れに近い」と話した。

 デルポトロにとって、アルゼンチン・オープンは2019年6月のフィーバーツリー選手権(Fever-Tree Championships 2019)で膝蓋骨(しつがいこつ)を骨折して以来の実戦となるが、今大会を最後に引退を発表する見込みとなっている。

 ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)を破って2009年の全米オープンを制し、世界ランキングも最高で3位まで上がったデルポトロだが、これまでに膝を4度手術し、33歳となる現在はランク757位まで下降している。

 アルゼンチン・オープンを前にした記者会見でデルポトロは、膝の負傷は「悪夢の中を生きている」かのようだったと話した。

「これは復帰というよりはお別れに近い。さまざまな治療法を試し、医師に長年診てもらってきたが、テニスをプレーせずに引退することは想像できなかった」

「それを実現するのに、ここ以上の大会は見つからなかった。今週が終わったら、将来のことを考える」

 過去にツアー22勝を挙げ、五輪では銀メダルと銅メダルを獲得し、2016年には国別対抗戦デビスカップ(Davis Cup)のタイトルを母国にもたらしたデルポトロだが、膝を負傷する前には手首も痛めてこちらも4度メスを入れるなど、けがに悩まされ続けてきた。

 今大会限りで引退した場合、他のテニス選手からプレーと人柄に対する称賛の声が寄せられるとみられる。

 2018年の全米オープン決勝でデルポトロを退けた後、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は、デルポトロが控室で集めているリスペクトについて「彼は自分がしてほしい接し方で人に接する」と話し、「それがみんなから愛される理由だと思う」とたたえている。

「彼は全員を尊重する。すべての試合で最初から最後まで戦う。みんなそこに共感し、彼がテニスにもたらしたものを評価しているのだと思う」 (c)AFP