【1月31日 AFP】30日に行われた全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2022)の男子シングルス決勝で、2セットを先行したところからラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)に敗れたダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev、ロシア)が、そこまで落胆はしていないと強調し、「非現実的」なナダルの強さをたたえた。

 昨年の全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2021)で優勝して壁を破ったメドベージェフは、最初の2セットを連取すると、第3セット途中にはナダルのサービスゲームでブレークポイント3本を握り、この時点では2度目の四大大会(グランドスラム)タイトル獲得は近いかに見えた。

 ところが、決して諦めないナダルはこのピンチをすべてしのいでサービスキープに成功すると、2-6、6-7(5-7)、6-4、6-4、7-5の逆転で5時間24分の死闘を制し、歴史的なグランドスラム21勝目を挙げた。

 メドベージェフは「テニスについて話すなら、そこまで落ち込んではいない。大きな試合だった」と話し、「もちろん、勝ちたいならいくつかの小さなポイント、細かな面でもっとやれた部分はあった。だけどこれがテニスで人生だ。ラファは非現実的なプレーをして、レベルを上げてきた」と続けた。

 メドベージェフがナダルにグランドスラム決勝で優勝を阻まれるのはこれが2回目で、2019年の全米オープンでも5セットの激闘の末に敗れた。自身4回目の四大大会決勝を戦ったメドベージェフは「2-0にしたときは『やってやる』というつもりだった」と話し、「第5セットは相手を走らせようと思ったが、彼は非現実的だった。本当に力強いプレーだった」と明かした。

「だからテニスに関しては、大きな後悔はない。これからもベストを尽くし続け、いつかこうした最高の大会でチャンピオンになれるように、今まで以上に努力するつもりだ」

 メドベージェフはこの試合でも、ロッド・レーバー・アリーナ(Rod Laver Arena)の満員の観客を味方につけられなかった。明らかにナダル寄りの観客は、メドベージェフがボールキッズに文句を言うと一部がブーイングを浴びせ、サーブの際には叫び声を上げた。

 メドベージェフは「残念だし失礼だ」と話し、ナダルのような大選手との対戦では、たいていファンが自分を応援してくれないことを嘆いた。

「若い世代にはもっと頑張ってほしい、もっと強くなってほしいという話がたくさんあったのを覚えている。だから僕もそれを大きな励みにして、彼ら(トップ選手)を追い詰めようとした」

「だけど、そういう人たちはうそを言っていたみたいだ。僕が実際にこういうビッグゲームに姿を見せたら、勝ってほしいと思っている人は多くないみたいだったからね」 (c)AFP