【1月29日 AFP】サッカースペイン1部リーグ、FCバルセロナ(FC Barcelona)のユースチームで監督を務めたアルベルト・ベナイジェス(Albert Benaiges)氏(71)の性的虐待疑惑について、同国の裁判所が捜査の請求を却下したことが、28日にAFPの取材で明らかになった。

 地元カタルーニャ(Catalonia)の新聞「ARA」によれば、ベナイジェス氏が1980〜99年に行った疑いのある虐待行為に関し、裁判所は16件の訴えについて公訴時効を迎えていると判断した。AFPに対し、司法筋も報道内容を認めた。

 ARAは昨年12月、ベナイジェス氏が2010年まで38年間にわたって体育教師を務めていたバルセロナ(Barcelona)の公立校の卒業生から、同氏による性的虐待を受けた、もしくは虐待を目撃したとの届け出が60件以上あったと報道。

 それによれば、ベナイジェス氏は子どもにわいせつな映像を見せる、下半身を露出する、子どもの体に触る、クラスメートの前で裸にさせるなどしていたという。虐待行為があったとされる場所は、学校のシャワー室や体育館のほか、同氏の自宅やキャンプ場も含まれていた。

 昨年12月に行われたARAの取材で、ベナイジェス氏は「私の良心は非常に明確だ。誰かに無理強いするようなことは決してしない」と話し、「誰かを傷つけたことは一度もないし、あったとしてもそれは故意ではない」と疑惑を否定していた。

 ベナイジェス氏は、バルセロナの名高い育成組織「ラ・マシア(La Masia)」がアンドレス・イニエスタ(Andres Iniesta)ら黄金期を支えた選手たちを輩出した1991年から2011年にかけて、ユースに深く携わっていた。

 その後はメキシコやアラブ首長国連邦(UAE)、ドミニカ共和国など海外で仕事をし、昨年3月にジョアン・ラポルタ(Joan Laporta)会長が復帰すると、自身もバルセロナに戻った。しかし、今回のスキャンダルが発覚した後、ラポルタ会長いわく「個人的な理由により」昨年末にクラブを退団した。(c)AFP