【1月17日 AFP】世界で最も裕福な男性10人の総資産額は、2年間に及ぶ新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の中で倍増したとする報告書を、国際NGOオックスファム・インターナショナル(Oxfam International)が17日発表した。一方で貧困と格差は拡大したという。

 オックスファムによると世界の富豪上位10人の資産総額は、この2年間で7000億ドル(約80兆円)から1兆5000億ドル(約170兆円)に急増した。1日当たり13億ドル(約1490億円)ずつ増えたことになるとしている。

 これは、1929年に始まった世界大恐慌(Great Depression)以来の不況といわれたパンデミック前14年間の富豪上位10人の資産増加額よりも多い。

 オックスファムはこの不平等を「経済の暴力」と呼び、その結果、医療を受けられなかったり、ジェンダー(性差)に基づく暴力にさらされたり、飢餓や気候変動に直面したりして毎日2万1000人が命を落としていると指摘。また、パンデミックにより1億6000万人が貧困に陥り、非白人の少数民族や女性が拡大する格差の影響を最も受けているとした。

 オックスファムは人命を救うため、税制改革を進め、世界規模でのワクチン製造や医療提供、気候変動への適応、性別に基づく暴力の削減などに資金を投入するよう各国政府に求めている。

 報告書は、米誌フォーブス(Forbes)の2021年版世界長者番付に基づいている。これによると、世界の富豪上位10人は以下の通り。

 米電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)と宇宙開発企業スペースX(SpaceX)のイーロン・マスク(Elon Musk)最高経営責任者(CEO)、米小売り・IT大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)の創業者ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏、米IT大手グーグル(Google)の創設者ラリー・ペイジ(Larry Page)氏とサーゲイ・ブリン(Sergey Brin)氏、フェイスブック(Facebook)から社名を変更した米メタ(Meta)のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEO、米マイクロソフト(Microsoft)創業者のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏とスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)元CEO、米ソフトウエア大手オラクル(Oracle)創業者のラリー・エリソン(Larry Ellison)氏、米投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏、仏高級ブランドLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼CEO。(c)AFP