【1月16日 AFP】米テキサス州ダラス(Dallas)西方約40キロの地点にある町コリービル(Colleyville)のシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)で15日、男が人質を取って立てこもり、テロリストとして有罪判決を受け収監中の受刑者の解放を要求する事件が発生した。人質は事件発生から約10時間後の午後9時30分に全員解放された。

 グレッグ・アボット(Gregg Abbott)州知事はツイッター(Twitter)に「人質は全員無事だ」と投稿した。一方、コリービル警察のマイケル・ミラー(Michael Miller)本部長は記者会見で「人質救出チームがシナゴーグに突入した」「容疑者は死亡した」と発表した。

 現地の報道陣によると、知事のツイートの直前に現場のベス・イスラエル会堂(Congregation Beth Israel)から大きな爆発音と銃声が聞こえた。

 ABCニュース(ABC News)によれば、ラビ(ユダヤ教指導者)を含む少なくとも4人が人質になったとみられる。容疑者は武装しており、爆発物を複数の場所に設置したと主張していたという。

 ABCが当局者の話として伝えたところによると、男は、アフガニスタン駐留米兵に対する殺人未遂罪で禁錮86年の判決を受け収監中のパキスタン出身の女性科学者、アーフィア・シディキ(Aafia Siddiqui)受刑者の兄弟を名乗り、同受刑者の解放を要求していた。

 シディキ受刑者は「レディー・カイダ(Lady Qaeda)」(米タブロイド紙)とも呼ばれ、2010年にニューヨークの裁判所で有罪判決を受け、現在はテキサス州フォートワース(Fort Worth)の刑務所に収監されている。

 専門家は、男はシディキ受刑者をアラビア語で「姉妹」と呼んでおり、これはイスラム教では信仰上の関係を示す比喩的な表現だと指摘した。

 シディキ受刑者の代理人を務める弁護士も、男は同受刑者の実の兄弟ではないことを確認したとし、同受刑者は事件と無関係だと主張している。(c)AFP/Andy JACOBSOHN