【1月14日 AFP】韓国・与党「共に民主党」の大統領候補、李在明(イ・ジェミョン、Lee Jae-myung)氏が14日、薄毛の人が「差別」されないよう、治療費を国民健康保険の適用対象とする公約を表明した。世論調査で接戦となっている対抗馬に水をあけるための戦略とみられている。

 李氏はフェイスブック(Facebook)に投稿した動画で、3月の大統領選で勝利したら「薄毛治療の医薬品を健康保険の適用対象にする。薄毛が深刻な場合は、植毛も対象に含めることを検討する」と語った。数分のうちに多数の「いいね」が付いた。李氏は、薄毛に悩む人は「老若男女を問わず日々差別的な扱い」を受けていると指摘した。

 薄毛の悩みがあるようには見えない李氏は黒々とした髪の毛をなでつけながら、有権者の髪の温存を約束。「美容目的の」高額な薄毛治療は保険適用外のため、効果が薄く、有害な可能性さえある市販薬を使っている国民が多いと語った。

 同氏陣営は韓国国民の5人に1人は薄毛に悩んでいると説明。しかし、公約実現のために必要な予算は示さなかった。

 提案は先週明らかにされ、議論が起きているが、多くの有権者は好意的にみている。

 ある支持者は、韓国第2位のポータルサイト「ダウム(Daum)」に、「薄毛は病気だ。公約を全面的に支持する」と書き込んだ。

 だが、医療保険財政を圧迫する可能性があり「ポピュリスト」だとの批判も上がっている。反対派のダウムユーザーは、「バイアグラ(Viagra)も対象にすべきなのか? 自分のお金じゃないんだ」と投稿した。

 人権派弁護士から政治家に転身した李氏は大統領選の最有力候補の一人で、対抗馬の尹錫悦(ユン・ソンニョル、Yoon Suk-yeol)氏と接戦を繰り広げている。(c)AFP