【1月13日 AFP】米司法省は12日、昨年の東京五輪に出場した選手に運動能力強化薬を提供したとされるテキサス州在住の療法士の男を、新たな反ドーピング法に基づき訴追したと発表した。同法に基づく訴追は初めて。

 訴追されたのは、同州エルパソ(El Paso)で「自然療法」専門医として活動するエリック・リラ(Eric Lira)容疑者(41)。女子短距離ナイジェリア代表のブレッシング・オカグバレ(Blessing Okagbare)選手(33)ら2人に対し、東京五輪での「不正を目的」に薬物を供給したとみられている。

 今回の訴追は、ロシアによる国家ぐるみのドーピングスキャンダルを受けて2020年に制定された「ロドチェンコフ反ドーピング法(Rodchenkov Anti-Doping Act)」に基づき行われた。スキャンダルを告発したロシアのグリゴリー・ロドチェンコフ(Grigory Rodchenkov)氏にちなみ命名された同法では、米当局が国際的なドーピング共謀行為に関与した人物を訴追することが認められている。

 薬物を供給された選手の名前は公表されていないものの、訴追状に記載されている情報からは、そのうちの一人がフロリダ州を拠点とするオカグバレ選手であったことが明らかだ。オカグバレ選手は東京五輪で7月19日に行われた薬物検査でヒト成長ホルモン(HGH)に陽性反応を示したことから、100メートル準決勝を前に失格となった。(c)AFP