【1月12日 AFP】米政権のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)首席医療顧問は11日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、感染が急拡大し入院患者数が過去最高を記録しているが対処可能だと指摘し、米国は同ウイルスとの共存に向けた移行期間の「入り口」に差し掛かかろうとしていると述べた。

 ファウチ氏はシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」で講演。新型ウイルスを根絶するのは非現実的で、最終的にはほぼ全人類が、並外れて強い感染力を持つ新型ウイルス変異株「オミクロン株」に感染することになると述べた。

 感染力の強さ、変異しやすさ、そしてワクチン未接種者の多さを考慮すると、「新型ウイルスは根絶できない」という。

 ワクチンの重症予防効果は高いが、感染予防効果は時間とともに低下する。

 しかしファウチ氏は、コミュニティーで十分な感染予防対策が取られ、十分な薬が行き渡り、ハイリスク群の人が感染しても容易に治療できるような新たな段階に米国が入ることを期待していると述べた。

 続けて「その段階に到達すれば、移行期に入る。われわれは今まさにその入り口にいるのかもしれない」とする一方、現在の1日の新規感染者数が100万人前後、死者が1200人以上である点を強調し、米国は「まだその段階にない」と述べた。

 公式統計によると、現在の入院者数は14万5982人となっている。多くは感染を理由に入院しているが、治療の必要はないとみられている。(c)AFP/Issam AHMED