【1月11日 AFP】アフガニスタンの駐中国大使は10日、辞任を発表した。後任への引き継ぎ資料から、半年間給料が支払われず、館内には電話対応のための職員1人しかいない機能不全の状況が分かった。

 ジャビド・アフマド・カエム(Javid Ahmad Qaem)大使は同日、ツイッター(Twitter)にアフガン外務省に宛てた1日付の文書を投稿。イスラム主義組織タリバン(Taliban)がアフガンの実権を掌握した昨年8月以降、職員に給与を支払うため必死にやりくりしたとつづった。半年にわたり本国から給与が支給されなかったという。

 カエム氏によると、1月1日の時点で大使館の銀行口座には約10万ドル(約1100万円)が残されている。

 カエム氏は「後任の大使が北京に到着しても、外交官は一人もいないだろう」と指摘。中国は現状を「よく分かっている」と付け加えた。

 同氏は自らの行き先には触れていない。2019年11月から駐中国大使を務めていた。

 後任に指名された大使の所在や、誰が任命したのかなどは明らかになっていない。タリバン暫定政権はこの件についてコメントをしていない。

 タリバンが権力を掌握して以降、中国は多額の支援をしており、タリバンは中国を重要な資金源とみている。

 一方、タリバンは大半の大使を任命しておらず、タリバンをアフガン政府と承認している国はない。 (c)AFP/Laurie CHEN