【12月30日 AFP】インドネシアは29日、北部アチェ(Aceh)州沖で船が故障し立ち往生していたミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)難民の上陸を認めると発表した。当初は目的地のマレーシアに送り返すとしていたが、国内外から抗議の声が上がっていた。

 木造船には女性と子どもを中心に少なくとも100人が乗っている。インドネシア当局は28日、難民の上陸を認めず、船を修理した後にマレーシア海域に送り返すとしていた。

 しかし政府は29日、同州沿岸の町ビルン(Bireun)当局と長時間にわたる協議を行い、方針を転換。人道的理由に基づき、難民船を陸までえい航すると表明した。国の難民問題対策本部によると、船は現在ビルン沖約80キロの場所にある。えい航がいつになるかは明らかになっていない。

 海軍によると、船は26日、インドネシア沖約70カイリの地点で発見された。

 船をマレーシアに送り返すという計画には、ビルンの住民からも非難の声が上がった。29日には、漁師のグループが抗議デモを行い、上陸を認めるよう訴えた。

 ビルンに住むワフユディさんはAFPの電話取材に対し「私たちアチェ人は、かつて紛争が続いていた時にロヒンギャと同じ経験をした。海を渡り、マレーシアやオーストラリアなどの人々に助けられた」と語った。(c)AFP