容赦なく打ちつけるむち…ロヒンギャ密航船の恐怖と反乱
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【12月26日 AFP】漁船にひしめくように乗っている痩せこけた難民を、密航業者がむちで情け容赦なく打ちつける──ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の密航ネットワークの最前線を捉えた貴重な映像をAFPが入手した。
映像は、船内でロヒンギャ難民が反乱を起こしたために逃げ出した密航業者の携帯電話に残されていた。子どもを含む多数の亡命希望者が船内や甲板に座り、その間に密航業者らが立っている様子が映っている。
船内で口論が始まると、片方の手に太いロープを持った密航業者の一人がロヒンギャの男性を突き飛ばし、倒れ込んだところを蹴飛ばした。その後、もう片方の手に握られたむちのようなもので、殴られないよう急いで逃げ出す上半身裸のロヒンギャの男性たちを何度も打ちつけた。
「僕たちが食べ物のことで文句を言ったら殴り始めた」と、船に乗っていた16歳のモハマド・オスマン(Mohammad Osman)さんは話す。AFPでは数か月にわたり、ロヒンギャ難民を密航させるネットワークを徹底調査した。その一環としてバングラデシュの難民キャンプで行ったインタビューに、オスマンさんは応じた。
オスマンさんの隣人、エナムル・ハサン(Enamul Hasan)さん(19)も同じ船に乗っていた。ハサンさんは、船内でロヒンギャの反乱が起こり、密航業者らが他の船に避難した際、彼らの一人が残していった携帯電話を急いで拾っておいたのだ。
この船は2月にバングラデシュを出港し、マレーシアに向かっていたが、4月中旬にバングラデシュに引き返してきた。携帯電話には、その数日前に船で起こった出来事を撮影した動画が収められていた。
船内では以前から密航業者がロヒンギャを殴打していて、複数のロヒンギャが亡くなったとハサンさんはAFPに語った。それらの映像は残っていない。
「彼らは、情け容赦がない。私たちの頭をたたき、耳を割き、指の骨を折る」