【12月27日 AFP】2021年に世界で発生した気象災害のうち、被害額が大きかった上位10件の合計が1700億ドル(約19兆4400億円)超となり、前年の1500億ドル(約17兆1600億円)に比べ13%増加した。英NGO「クリスチャン・エイド(Christian Aid)」が27日公表した報告書で明らかになった。

 報告書は、クリスチャン・エイドが毎年、損害保険金請求を基に洪水や山火事、熱波などの気象災害の損害額を算出し、まとめているもので、被害額が増加傾向にあるのは人為的な気候変動の影響によるものだと指摘している。

 被害額が最も多かったのは、米東部を襲ったハリケーン「アイダ(Ida)」で、約650億ドル(約7兆4300億円)だった。アイダは8月末、ルイジアナ州に上陸し北上。ニューヨーク市とその周辺地域にも大規模な洪水を引き起こした。

 次いで7月にドイツとベルギーで発生した洪水で、被害額は430億ドル(約4兆9000億円)。

 米南部テキサス州では、寒波と冬の嵐の影響により広範囲で停電し、230億ドル(約2兆6000億円)の損害が出た。7月に中国中部の河南(Henan)省で発生した洪水の被害額は、176億ドル(約2兆円)と推定される。

 被害額については、インフラを対象とした保険が整備されている先進国での集計が中心となっている。それに対し、貧困国では経済的損失の算定に困難が伴う。南スーダンでは、洪水の被災者が約80万人にも及んだ。

 クリスチャン・エイドは「貧困国は気候変動の原因をほとんどもたらしていないにもかかわらず、2021年に発生した甚大な気象災害の一部の直撃を受けた」としている。

 21年には、上位10件の気象災害に伴い、少なくとも1075人が死亡、130万人が避難を余儀なくされた。(c)AFP