中国で横行する「アプリ削除封じ」 その理由は?
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【12月24日 東方新報】中国で消費者の合法的権益を守る全国組織「中国消費者協会(CCA)」は12月14日、中国でよく使われているアプリ50件の削除方法を調べたところ、4割にあたる20件に問題があると発表した。ユーザーが簡単にアプリを削除できない設定になっているという。
CCAによると問題は5点に分かれており、①アプリを削除する条件が明記されていない②アプリの登録から一定期間を過ぎると削除できないなど、条件が合理的ではない③削除の手続きが煩雑で長期の日数を要するなど、手続きが合理的ではない④削除には審査が必要としながら、審査の申し込み方法や期間が不明確⑤アプリ内に削除機能がない-としている。
CCAは問題のあったアプリを公表。IT大手・阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)のオンラインモール「淘宝(タオバオ、Taobao)」、フードデリバリー大手の「餓了麼(Ele.me)」、配車サービス大手の「嘀嗒出行(Dida Chuxing)」、IT大手・騰訊(テンセント、Tencent)の動画共有サービス「騰訊視頻(Tencent Video)」、中国南方航空(China Southern Airlines)などに上記5点のいずれかで問題があったとしている。
中国紙「工人日報(Workers' Daily)」はCCAの発表を受けた記事で「ユーザーがもうアプリを使う気がないのに、削除をしづらくする意味はあるのか?」と疑問を投げかけている。そして業界関係者の話として、「一番は利益の問題だ。企業は消費者のデータを『宝』として考えている。金融機関や投資家から資金を調達する際の交渉材料にもなる」という見解を紹介。「乗船容易下船難(船に乗るのは簡単だが、降りるのはたやすくない)」と伝えている。
CCAは2018年に「9割のアプリが過度に個人情報を収集している」と発表。今年1月には「IT企業が個人データを乱用し、製品やサービスの購入を強要している」と指摘した。アプリの使用に必要ない位置情報や電話番号、メールアドレス、クレジットカード番号などを収集し、さらに消費者のインターネット利用状況を分析してオススメの製品やサービスの広告を自動的に送り付ける。こうした手法を「消費者はアルゴリズムのデータに圧倒され、技術的ないじめを受けている」と批判している。
アプリを利用することで生活が便利になる一方、特定の情報に誘導されやすいことは各国で共通して指摘されている問題だ。中国政府もアプリによる過度な個人情報収集を禁じるなどの措置を取っているが、次々と新たなアプリが登場する中、対策に手を焼いている。(c)東方新報/AFPBB News