■トランプ氏からの命令すべてをチェック

 議事堂襲撃前にトランプ氏を抑制できたかもしれない人々──米共和党のミッチ・マコネル(Mitch McConnell)上院院内総務とケビン・マッカーシー(Kevin McCarthy)下院院内総務──は、いずれも自身の政治的野心から、トランプ氏に意見しようとしなかったと内幕本は明かしている。

 議事堂が襲撃されて数時間後。トランプ政権の閣僚数人を含め、共和・民主両党の有力議員は、トランプ氏は情緒不安定であり、合衆国憲法修正25条を発動させて免職するべきだと考えた。

 しかし、明確な道筋はなかった。協力が必要とされたペンス副大統領は、免職を支持しない考えを示していた。

 最終的にペンス氏がバイデン氏の勝利を認定し、多少なりとも平穏は戻った。

 民主党のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長はミリー氏に電話をかけ、「タガが外れた大統領」が核攻撃を命じるのを阻止し得る予防措置を尋ねた。

「核の引き金はしっかり守られている」とミリー氏は述べ、核攻撃は起き得ないと請け合ったと「Peril(危機)」は記している。

 それから、ミリー氏は軍の幹部数人を呼び入れ、トランプ氏からの命令は全部自分がチェックすると告げた。

 そして、一人ひとりの目を見つめ、こう言った。「分かったな?」 (c)AFP/Paul HANDLEY