【12月20日 AFP】新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染が拡大する英国のドミニク・ラーブ(Dominic Raab)副首相兼司法相は20日、オミクロン株によりこれまでに12人が死亡し、104人が入院したと明らかにした。クリスマス前の対策強化には反対する声もあるが、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相は規制強化の判断を迫られている。

 英国では19日、8万2886人の新型ウイルス新規感染者が報告され、首都ロンドンでは過去最多となった。

 ラーブ副首相は20日、衛星放送スカイニューズ(Sky News)に対し、オミクロン株により12人が死亡、104人が入院したと述べ、「データには時間のずれがあるため、状況がどれほど深刻になるのかまだ分からない」と警戒を示した。

 英国は欧州で新型ウイルスの被害が最も大きい国の一つで、これまでに14万7128人が死亡している。

 政府は、ワクチンパスの導入や特定の場所でのマスク着用義務化といった対策を講じてきた。感染の拡大防止が急がれる中で、3回目のワクチン接種を受けた人はすでに2800万人を上回っている。

 一方で、昨年のクリスマスシーズンに屋内の集会に関する制限導入を余儀なくされたジョンソン首相に対しては、今年は同じことを繰り返すべきではないとの政治的圧力もある。

 また、首相や側近が昨年、対人距離の確保規則に違反して首相官邸や省庁でパーティーを開いていたとの疑惑も浮上し、国民の間で怒りが広がっている。

 英国ではこれまでのところ、近隣諸国で見られるような、社交を制限する勧告は正式には出されていない。(c)AFP