■宇宙の夜明け「再電離」

 ウェッブ宇宙望遠鏡の大きな目標は、宇宙の進化における重要な局面、つまりファーストスターが形成され始めた時期の説明の一助となることだと、エッシュ氏は話す。

 ビッグバンによって宇宙の膨張が始まってから、ほぼ光のない時代に突入した。この暗黒時代の宇宙は、水素とヘリウムのガスの霧が渦巻いている状態だった。

 この時代が数億年続いた後、ついにファーストスターが形成され始めた。

 ファーストスターは太陽の最大300倍の質量を持つ巨星で、わずか数百万年で燃え尽き、超新星爆発を起こしたと考えられている。

 ファーストスターがいつ、どのようにして形成されたかは、明らかになっていない。まだ理論上の存在でしかない謎の物質「暗黒物質(ダークマター)」が関与したとする説もある。

 これは、宇宙の進化において極めて重要な時期だ。大質量星からの放射により、水素原子が再び陽子と電子に分かれる「再電離」が起きたからだ。

 電離が進むと、宇宙は星からの放射に対してますます透明になり、最終的に現在の宇宙空間の大半で検出される「霧が晴れた」状態に至った。

 再電離現象の研究では、銀河の形成過程を詳しく調べる。

 ウェッブに期待されているのは「第2世代の星を含む初代の銀河」の観測だ。「この観測によって、初代星に関する何らかの情報が得られるかもしれない」と、天文学者は話している。(c)AFP/Pierre CELERIER