【12月16日 AFP】スペイン1部リーグ、FCバルセロナ(FC Barcelona)のFWセルヒオ・アグエロ(Sergio Aguero)が15日に記者会見を開き、心臓の問題により現役を引退すると涙ながらに発表した。

 10シーズンを過ごしたイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティ(Manchester City)で大成功を収め、今年のオフにバルセロナに加入した33歳のアグエロは、「プロサッカー生活に終止符を打つことに決めた。とてもつらい瞬間だが、自分の決断に満足している。健康が第一だ」と語った。

 バルセロナと2年契約を結んだアグエロだが、公式戦での出場は5試合にとどまり、ゴールはレアル・マドリード(Real Madrid)相手に決めた1点のみとなった。

 ホームにアラベス(Alaves)を迎えた10月の試合で「胸の違和感」を訴えて病院に搬送されたアグエロは心臓病だと診断され、二度とプレーできないという事実を受け入れる他なかった。

 バルセロナのチームメートも駆けつけた本拠地カンプ・ノウ(Camp Nou)での会見で、アグエロは「1か月ちょっと前に問題が見つかったためこの決断を下した。お世話になった医師は全力を尽くしてくれ、プレーをやめるのが最善だと告げられた」と語った。

「望みをつなぎ続けるために可能な限りのことをしたが、希望はそれほどなかった」

 「クン」の愛称で知られているアグエロは、母国アルゼンチンのインデペンディエンテ(Independiente)でプロ生活をスタートさせると、2006年にはアトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)に移籍し、活躍の場を欧州に移した。

 アトレティコでヨーロッパリーグ(UEFA Europa League)を制すと、2011年にはシティに加入。2012年5月、リーグ優勝を決めるクイーンズ・パーク・レンジャーズ(Queens Park RangersQPR)戦での後半アディショナルタイムの劇的ゴールが最も名高いアグエロは、10シーズンを過ごしたシティで計260得点をマークし、クラブの歴代最多得点記録保持者となった。

 プレミアリーグにおける外国籍選手の最多ゴール記録も保持するアグエロは、シティで5度のリーグ優勝に貢献し、FAカップ(FA Cup)を1度、フットボールリーグカップ(England Football League Cup)を6度制している。

「このキャリアをとても誇りに思う」と話したアグエロは、「シティでのプレミアリーグ初優勝を決めたクイーンズ・パーク・レンジャーズ戦のゴールは誰もが知っているが、素晴らしい瞬間はいくつもある」と続けた。

 代表のチームメートで、友人でもあるフランス・リーグ1のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)に所属するリオネル・メッシ(Lionel Messi)は、「キャリアのほぼ全てを共にしたクン」とインスタグラム(Instagram)に記した。

「ピッチ上、そして代表チームで君といられなくなるなんて本当に寂しくなる」

 シティのカルドゥーン・アル・ムバラク(Khaldoon Al Mubarak)会長は「セルヒオはプレミアリーグの歴史において、まさに最も容赦のないストライカー。2人のキャリアを反映したような彼の数字が、実は現役生活を短縮された選手のものであるというのは驚き」とコメント。

 また、シティでキャプテンを務めたヴィンセント・コンパニー(Vincent Kompany)氏は、ツイッター(Twitter)に「マン・シティの真の怪物に感謝と敬意を」とつづった。(c)AFP