【12月14日 AFP】米国体操連盟(USA Gymnastics)の元チーム医師、ラリー・ナサール(Larry Nassar)受刑者(58)が長年にわたり選手らに性的虐待を行っていた事件で、同連盟と米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)ならびに両組織の保険会社が、総額3億8000万ドル(約431億円)を支払うことで和解が成立した。13日に被害者側の代理人が明らかにした。

 今回の和解により、スキャンダルの発覚から5年にわたって続いた法廷闘争が終わりを迎えた。性的虐待の被害者が受け取る和解金としては、過去最高レベルの額となった。

 ナサール受刑者の元勤務先であるミシガン州立大学(Michigan State University)も2018年に5億ドル(約567億円)の支払いで合意しており、和解金の総額は8億8000万ドル(約998億円)に上ることになった。

 また、今回の合意内容には、虐待被害者の一人が米国体操連盟の理事に就任することも含まれている。

 ナサール受刑者はスポーツドクターとして米国体操連盟やミシガン州立大学で20年以上にわたり勤務していた際、女子選手らに性的暴行を加えていた。2017年から18年に行われた裁判で有罪を認め、現在は終身刑に服している。

 被害を訴えた女性の数は数百人に上り、その中には五輪金メダリストのシモーネ・バイルス(Simone Biles)をはじめ、元選手のアレクサンドラ・レイズマン(Alexandra Raisman)氏やマッケイラ・マロニー(McKayla Maroney)氏らも含まれる。

 2016年にナサール受刑者の性的暴行を初めて公にしたレイチェル・デンホランダー(Rachael Denhollander)さんは、今回の和解を歓迎し、「ようやく、この章が終了する。これで改革と再建の大仕事を始めることができる。正義が到来して変化が訪れるかどうかは、これからにかかっている」とツイッター(Twitter)に投稿した。(c)AFP