【12月18日 CGTN Japanese】近年、中国では風力発電や太陽光発電をはじめとする新エネルギーの分野が急速に発展していますが、これらの発電方式は環境による影響が大きく、時とともに発電量が増減して安定しておらず、電力系統の安全な運営に潜在的な危険をもたらしています。しかし、エネルギー貯蔵技術によって発電所の通常時の余剰発電分を保存し、電力使用のピーク時に放出することができるようになりました。エネルギー貯蔵技術には多くの方式があり、そのうち圧縮空気を利用したエネルギー貯蔵技術は非常に特異なものです。

 2021年10月には中国が開発した最初の10メガワット圧縮空気エネルギー貯蔵システムが貴州省(Guizhou)畢節市(Bijie)内で電力系統に接続され、発電を開始しました。電力専門家はこのシステムを「超大型のポータブルバッテリー」にたとえています。

 圧縮空気エネルギー貯蔵システムは2つのプロセス、すなわちエネルギー貯蔵とエネルギー放出に分けられます。エネルギー貯蔵時には、圧縮機によって空気を圧縮して貯蔵します。電気を放出する必要がある場合は高圧空気を放出し、発電機を駆動します。なお、効率を最適化するには、圧縮機、膨張機、蓄熱放熱装置、集積制御の4つの重要な技術を解決する必要があります。

 中国初の10メガワット圧縮空気エネルギー貯蔵システムはすでに、中国南西部の山間部に位置する貴州省に建設されて稼働しています。現地の複雑な地形のためにプロジェクトの工事には難しい面があり、2016年にこのシステムの工事が始まってから、据え付けや調整の時間だけで1年以上かかりました。その後さらに4年以上をかけて調整を行い、比較的に理想的なエネルギー消費のレベルに達しました。この先進的な10メガワット圧縮空気エネルギー貯蔵システムは現在、1日当たり4万キロワット時の電力を発電することができます。この電力量は一般家庭3000世帯の1日の電力使用量に相当します。

 圧縮空気エネルギー貯蔵技術によって発電量が不安定な風力発電、太陽光発電などの新エネルギーを貯蔵することができます。つまり電力システムに安定装置と蓄電池がつけられたことになります。風力発電と太陽光発電を電力システムにつなげる場合には天気の変化と日光の変化に伴って制御が不能な面があり、電圧に変動が生じます。しかし、エネルギーを保存して安定した形で電力システムにつなげれば、エネルギー構造を改善することができます。また、圧縮空気エネルギー貯蔵システムは規模が大きく、コストが低く、長寿命であり、地理的条件の制限を受けず、環境にやさしいなどの特徴があり、大規模に普及させるに足るエネルギー貯蔵技術でもあります。また、貯蔵媒体が空気だけであるため、突然爆発するリスクもありません。(c)CGTN Japanese/AFPBB News