【12月19日 AFP】西アフリカ・ナイジェリア最大の商業都市ラゴス(Lagos)。その貧困地区の一つ、オウォロンショキ(Oworonshoki)の路地でドラムのリズムに合わせ、ペットボトルの巨人が2人、ほこりを立てながらくるくると回る。

 木材とブリキ板だけでできている掘っ立て小屋から住民が顔を出し、にぎやかに通り過ぎる不思議な行列を目を丸くして眺めている。

 路上にいた人々が、すぐに体を揺らしながら踊り手に加わる。巨人のコスチュームは近所から集めたペットボトルだけでできている。音楽と踊りが激しさを増すと、ダンサーの一人が口から炎を吐き出す。「スラムパーティー(Slum Party)」の始まりだ。

 この3年間、若者10人から成るパフォーマンス集団がダンスを通じて、スラム住民の生活の向上を目指してきた。かつて犯罪組織の暴力で荒廃していたこの地区のイメージアップを図ろうとしているのだ。

「2019年、オウォロンショキは治安上、多くの問題に悩まされていました。誰も以前のように表に出ようとしなくなっていました」と語るプロダンサーのバリューさん。本名はサンデー・オゼグベ・オビアジュル(Sunday Ozegbe Obiajulu)さんという。1年に1度開かれる「スラムパーティー」の創始者の一人だ。

「人々が安心して外に出られるように、私たちは道で踊り始めました。通りに人の姿が増えてきました」とバリューさんは言う。「活気が戻り始めています」

 ダンス集団は年間を通じて、地域で子どもたち向けのダンス教室を開き、女性たちにフィットネスを教えている。

 住民のマーサ・エゼ(Martha Eze)さん(37)は「それまでは一日中、子どもと家にいました。でも今は、あの人たちのおかげで新しいことをしています。自分はここにいるんだ、と感じられます」と高揚した口調で話す。これからパーティーで踊るところだ。