【12月11日 AFP】米国は10日、人権侵害を理由に、中国の顔認識技術企業や北朝鮮の大手アニメ制作企業など、8か国の政府高官や団体に対する一連の制裁措置を発表した。

 制裁は「世界人権デー(Human Rights Day)」に合わせて発表され、一部は英国とカナダと連携して実施される。対象には、ミャンマーでの反クーデターデモ弾圧や、中国の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)でのイスラム系少数民族ウイグル人抑圧、バングラデシュでの麻薬撲滅を名目とした政治的暴力をほう助したとされる当局者が含まれる。

 米財務省は、中国の人工知能(AI)開発企業・商湯科技(センスタイム、SenseTime)と新疆ウイグル自治区のウイグル人高官2人が、ウイグル人に対する広範な抑圧に関与したと指摘。商湯科技の顔認識プログラムは、新疆でウイグル人やその他のイスラム系少数民族に対して使用されることを目的に開発されたものだとした。

 また、同省は、ジョー・バイデン(Joe Biden)政権で初となる北朝鮮を対象とした新たな制裁措置を発表した。バイデン政権は数か月間にわたり、北朝鮮に対して同国の核開発をめぐる協議に応じるよう働きかけてきた。

 同省は、北朝鮮の政府系アニメ制作企業SEKスタジオ(SEK Studio)とその関連企業・個人が労働者を搾取し、外貨調達や同国への制裁回避に及んでいると主張。さらに、李永吉(リ・ヨンギル、Ri Yong Gil)国防相にも制裁を科した。

 米国務省も10日、並行して中国とウガンダ、ベラルーシ、バングラデシュ、スリランカ、メキシコの当局者12人を「深刻な人権侵害に関与した」として、ブラックリストに追加すると発表した。

 制裁とブラックリストの対象は、米国内にある資産が凍結されるほか、米国のビザ(査証)受給や米個人・団体との取引が禁じられ、米国の金融機関から事実上締め出される。(c)AFP