SNSで「有毒なヘドロ」まん延 ノーベル平和賞レッサ氏が非難
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【12月11日 AFP】ノルウェーの首都オスロで10日、ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)の授賞式が行われ、フィリピンとロシアの著名ジャーナリスト、マリア・レッサ(Maria Ressa)氏(58)とドミトリー・ムラトフ(Dmitry Muratov)氏(60)に賞が授与された。レッサ氏は演説で、米大手IT企業がSNS上で「有毒なヘドロ」をまん延させていると非難した。
レッサ氏は、フェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)、ユーチューブ(YouTube)などを名指しはなかったものの、「米国のインターネット企業」を非難。こうした企業の技術は「その神のような力で、私たち全員をうそというウイルスに感染させ、私たちを対立させ、恐怖と怒り、憎しみを呼び起こし、世界中で権威主義者や独裁者が台頭するお膳立てをしている」と指摘した。
「今最も必要なのは、そうした憎しみを広めて人の中の最悪な部分を呼び起こすことで金稼ぎをしている米インターネット企業が優先し、私たちの情報エコシステムを流れているこの憎しみと暴力という有毒なヘドロを改変することだ」と訴えた。
レッサ氏は調査報道サイト「ラップラー(Rappler)」を共同設立し、現在も代表を務めている。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領や、同大統領が推進し多数の死者を出している麻薬撲滅作戦を激しく批判してきたレッサ氏は、同国で複数の罪で起訴されており、本人によると禁錮100年が言い渡される可能性もある。昨年には名誉毀損(きそん)の罪で有罪判決を受けた。現在は控訴中で保釈されているが、10日の授賞式出席のためには四つの裁判所にノルウェーへの渡航許可を申請する必要があった。(c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES