【12月10日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は9日、12日に行われる最終戦アブダビGP(Abu Dhabi Grand Prix 2021)決勝で、前人未到となる通算8度目のタイトル獲得を果たす可能性を得られたのは、「素晴らしい」チームが逆境に打ち勝ったおかげだと語った。

 第21戦サウジアラビアGP(Saudi Arabian Grand Prix 2021)で連勝を3に伸ばした36歳のハミルトンは、ドライバーズ選手権でレッドブル(Red Bull)のマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)と同点に並び、最終戦を迎えることになった。

 レースを控えたこの日の記者会見で「僕らは何の目印もない領域に入っている」と話したハミルトンは、「今季の成績からすれば、われわれが最後にこれほど接戦に持ち込む可能性なんて、多くの人々が除外していたに違いない」とし、「ファクトリーやサーキット上にいる全員の素晴らしい努力のおかげだ」と語った。

「8回目はこれまで誰も成し遂げたことがないが、感謝している」

 2008年に初めて年間タイトルを獲得したとき23歳だったハミルトンは、初の総合優勝を目指している24歳のフェルスタッペンの心境を理解できるといい「初めてのときは、どんな気持ちになるか覚えているから分かるよ。自分もそうした経験や感情の起伏を乗り越えてきた」と振り返った。

 5日に行われたサウジアラビアGP決勝では、フェルスタッペンがハミルトンに順位を譲るように命令された際に走行違反を犯して5秒間のペナルティーを科された場面があり、F1の元最高経営責任者(CEO)であるバーニー・エクレストン(Bernie Ecclestone)氏らからは、スチュワードがメルセデスに有利な判断を下しているとの声が上がっていた。

 しかしながら、両ドライバーはスチュワードの気まぐれによってタイトルの行方が決まる可能性を退けた。

 フェルスタッペンは「何が起きるか分からないのは当然のことだが、これまですでにシーズンを通じて少しばかり物議を醸すようなことはいくつかあった」としつつ、「だけど、そう。そういうものだ。自分にはどうすることもできない。週末に向けて、ポジティブなことに集中していくだけ。とにかく、コース上での勝負を望んでいる」と語った。

「両チームともきれいに勝ちたいと思っている。そうやって勝負は決まるべきであり、物議を醸す形であってはならない」

 一方、ミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)氏の史上最多記録に並ぶ通算7度の総合優勝を果たしている経験豊富なハミルトンも、スチュワードの決断が最後に物を言うとの指摘に対し、「そんなことにエネルギーを費やすつもりはない」と一蹴。「素晴らしいレースをするためにここにいる。チームとして、前向きな気持ちで乗り込んでいるし、マシンは素晴らしい状態だ」と続けた。

 さらに「彼ら(レッドブル)は昨年ここで勝っているから、今週末は手ごわいのは間違いない」とし、「だけど、こちらが追い上げて、大きな差を詰めた。ここにやって来て、週末は強さを発揮できると思っている」と語った。(c)AFP