【12月8日 AFP】2018年にサウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏が殺害された事件で、仏警察は7日、実行犯グループの一員とみられる男をパリのシャルル・ドゴール空港(Charles de Gaulle)で逮捕した。司法・空港関係者が明らかにした。

 男は、サウジアラビアの首都リヤド行きの便へ搭乗直前に身柄を拘束された。トルコが逮捕状を出しているハリド・アロタイビ(Khalid Alotaibi)容疑者と同名のパスポート(旅券)を所持しており、捜査当局は同一人物かどうか確認を進めている。

 米国に亡命し、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)に寄稿していたカショギ氏は18年10月2日、トルコ人の婚約者との結婚手続きをするため、トルコ・イスタンブールのサウジ領事館を訪問。米国とトルコの当局によると、待ち伏せしていたサウジアラビアの暗殺者グループに絞殺され、遺体はバラバラにされた。遺体は現在も見つかっていない。

 欧米の情報機関は、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)が殺害を承認したと結論。事件は国際社会の怒りを呼び、その余波は現在も続いている。

 トルコの裁判所は昨年、カショギ氏殺害に関わったとされる20人の欠席裁判を開始。被告にはムハンマド皇太子の側近2人が含まれていた。トルコ検察当局はその後、さらに6人を起訴したが、これまで同国で直接裁判にかけられたサウジ当局者はいない。

 昨年9月には、サウジアラビアの裁判所が、同国での非公開裁判で被告5人に下されていた死刑判決を撤回し、代わりに禁錮20年を言い渡している。(c)AFP/Wafaa ESSALHI