中国で調理済み食品が大人気 「長い賞味期限が不安」の声も
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【12月11日 東方新報】牛すじ肉のトマト煮、トロトロの豚肉の角煮、もち米のシューマイ…。家庭で作るのは手間のかかる本格中華が、ビニール袋を破って電子レンジに入れるだけで味わえる。中国ではここ数年、冷凍食品などの調理済み食品が急激に人気となっている。
湖南(Hunan)料理の高級料理店「湘鄂情」は青唐辛子と豚肉の田舎風炒め、四川(Sichuan)料理の人気店「眉州東坡」は梅菜と豚バラの煮込み、広東(Guangdong)料理の「広東酒家」は鳥肉のしょうゆ煮と、各地の有名店が名物料理を冷凍食品で販売している。
大手食品会社も豚肉の衣揚げ、鳥肉入りスープの豚肉ホルモン鍋、野菜の漬物と魚のスープなど数十種類の調理済み食品を販売。生鮮食品EC「叮咚買菜」は今年に入り、少し調理するだけで食べられる「快手菜」シリーズを発売すると、1億個の売り上げを記録した。
毎年11月11日を中心に行われる中国最大のネット販売セール「双11(ダブルイレブン)」で、今年は調理済み食品の売り上げが前年の2倍となり、「トレンド商品トップ10」の一つに選ばれた。
中国で調理済み食品と言うと長年、ギョーザや肉まんなどに限られていたが、急速に広まった理由は「生活のスピード化」が挙げられる。急激な経済成長に伴い勤め人の残業時間が増えると同時に、さまざまな娯楽産業も発展。生活があわただしくなる中、「おいしい料理が短時間で食べられる」調理済み食品がブレークした。さらに新型コロナウイルスの流行により、生活のすべてを自宅で済ます「おうち経済」が浸透したことが拍車をかけた。企業調査データベース「天眼査(Tianyancha)」によると、全国の調理済み食品関連企業は2015年の4000社から今年1月現在で6万9000社に急増している。
市場調査会社の艾瑞諮詢(iResearch)によると、今年の調理済み食品の市場規模は前年比18.1ポイント増の3459億元(約6兆1694億円)に達する見込み。冷凍食品の1人当たりの消費量(2019年)は米国で60キロ、欧州で35キロ、日本で20キロに対し、中国はわずか9キロ。発展のポテンシャルは高く、数年後には1兆元(約17兆8357億円)産業に成長するとみられている。
その一方で、こうした冷凍食品の賞味期限が1年間など長期にわたることに、消費者の間では「安全性に問題がないのか」という不安もある。食品会社は「マイナス30度の環境で急速冷凍し、食品の中心温度をマイナス18度にまで下げて新鮮な味を閉じ込めるとともに、微生物の繁殖を防いでいる」と説明する。安息香酸ナトリウムやソルビン酸カリウムなどの一般的な食品保存添加物も使わず、新鮮さをアピールする食品も多い。
ただ、店頭販売からネット販売まで手がける阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)系列の新世代スーパー「盒馬鮮生(Hema Xiansheng)」によると、売れ行きが良い調理済み食品は賞味期限が8~12日と短い商品が多いという。中国の消費者の間で冷凍食品へのなじみがまだ薄く、「使いたいけどなんとなく不安も」という戸惑いが感じられる。中国社会科学院食品・医薬品産業発展監督研究センター長の張永建(Zhang Yongjian)氏は「調理済み食品は工場での加工から消費者の食卓に届くまでのプロセスが長い。コールドチェーン(低温物流)の徹底などが課題となる」と指摘している。(c)東方新報/AFPBB News