「心地よくない」 ハミルトンが人権侵害批判のサウジに言及
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【12月3日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は2日、今週末の第21戦サウジアラビアGP(Saudi Arabian Grand Prix 2021)を控える中、スポーツを利用して人権侵害から目をそらす「スポーツウオッシング」をしていると再び批判されている同国でのレースについて「心地よくない」と認めた。
今季が残り2戦になる中、ジッダ(Jeddah)での記者会見に臨んだハミルトンは「ここでの気分は良いかって? 心地よいとは言えない」とコメントした。
「だが、これは私が決めたことではない。われわれの競技がここにいることを選んだが、たとえそれが公平でもそうでなくても、ここにいる間は何かしらの意識啓発に取り組むことが重要だと思う」
近年のハミルトンは人権問題について強く主張しており、「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」運動を支持してレース前にはグリッドで膝つき抗議を行っている。
11月の第20戦カタールGP(Qatar Grand Prix 2021)で、性的少数者(LGBTQ)への支援を訴えるために鮮やかなレインボーカラーがデザインされたヘルメットを着用していたハミルトンは、ジッダ市街地コース(Jeddah Corniche Circuit)で行われるサウジアラビアGPと、来週末に予定されている最終戦アブダビGP(Abu Dhabi Grand Prix 2021)でもこのヘルメットをかぶる予定となっている。
7度の年間優勝を誇るハミルトンは「多くの変革を行うことが必要。われわれの競技はもっと努力しなければならない」と付け加えた。
近年、ボクシングのヘビー級タイトルマッチやゴルフ欧州ツアーといったスポーツのビッグイベントを開催し、F1の招致にも成功したサウジアラビアだが、「スポーツウオッシング」という批判にまたも直面する事態となっている。
サウジアラビアでは、事実上の国家指導者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)の下で一連の改革に取り掛かっている。
世界最大の石油輸出国であるサウジアラビアは、海外企業を取り込んで経済を多様なものにしようとしており、今回のF1開催も友好的な一面を見せるためのキャンペーンの一環となっている。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)によれば、同国は歌手のジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)さんがパフォーマンスを行う今回のサウジアラビアGPを、「広くはびこった人権侵害から気をそらす」ために利用しているという。(c)AFP