【12月3日 AFP】ドイツの首都ベルリンの国防省で2日、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相(67)の退任式が行われた。メルケル氏は送別の曲として、共産主義政権時代に「パンクのゴッドマザー」と呼ばれた歌手ニナ・ハーゲン(Nina Hagen)のヒット曲を選び、周囲を驚かせた。

 ドイツでは今月8日、議会が社会民主党(SPD)のオラフ・ショルツ(Olaf Scholz)現財務相をメルケル首相の後任として正式に選出し、16年間続いた保守政権から中道左派政権へと移行する。

 2日夜の式典では、正装した兵士たちが火のついたたいまつを持ち参加し、鼓笛隊が演奏する伝統的な軍楽に加え、首相自身が選んだ曲目が流された。

 歴代首相では、ヘルムート・コール(Helmut Kohl)氏がルートウィヒ・ベートーベン(Ludwig Van Beethoven)の「歓喜の歌(Ode To Joy)」を、ゲアハルト・シュレーダー(Gerhard Schroeder)氏がフランク・シナトラ(Frank Sinatra)の「マイ・ウェイ(My Way)」を選んだが、メルケル首相は東ドイツのポップソング、ニナ・ハーゲンの「Du hast den Farbfilm vergessen(カラーフィルムを忘れたのね)」を選んだ。

 記者会見でこの選曲について聞かれると、共産主義の東ドイツで過ごした若い頃に聴いた思い出の曲だと説明。「この曲は私の青春のハイライトだった」と語り、「この曲も東ドイツで生まれ、偶然にも、かつて私の選挙区だった地域では今でも流れている。だからすべてがきょうに合っている」と語った。(c)AFP