【11月30日 People’s Daily】中国は北京時間11月5日午前10時19分、太原衛星発射センターからキャリアロケット「長征6号(Changzheng-6)」を用いて、地球科学衛星「広目(Guangmu)」の打ち上げに成功した。

 広目衛星は中国科学院が開発した初の地球科学衛星で、同院「地球ビッグデータ科学プロジェクト」により先導・特別研究開発され、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の課題に専門的に取り組む世界初の科学衛星だ。

 2015年の「国連持続可能な開発サミット」で、「われわれの世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、17のSDGsを打ち出し、人類社会、経済、環境の3つの次元の開発問題を総合的に解決し、持続可能な開発の道に転換することを旨とする。しかし、これらの目標を達成するには、データ不足という大きな課題に直面している。

 現在直面しているデータの欠落問題を緩和するために、早急にデータの収集と統合のための新しいデータソースと技術を探索する必要がある。空間観測は効率的なデータ取得手段、研究方法の一つと考えられている。

 広目衛星の首席科学者で持続可能発展ビッグデータ国際研究センターの郭華東(Guo Huadong)主任は、「衛星、宇宙、地上センサーなどの手段で取得した地球観測データは、公式統計や調査データの補完となるだけでなく、従来のデータと組み合わせることで、よりタイムリーで、空間的代表性のより高品質の情報を生成することができる」と述べた。

 人類活動の軌跡に更なる精密な描写と再現を行うために、広目衛星は2つの優れた技能を練り上げた。

 ①より細かく見せること。広目衛星はこれまでの同種の衛星の中では比較的高い解像度を持ち、高解像度の広幅熱赤外線、微光・マルチスペクトル撮像装置の3種類のペイロードを搭載しており、地上の物体のより精密な探査を可能にする。

 ②効率を高めること。広目衛星は300キロの観測幅があり、11日間で地球をフルカバーできる。また、24時間途切れのない複数のペイロード共同観測が可能だ。

 これらの技能により、広目衛星はかすかな光でも夜間の人間活動や極地の氷雪の変化を観測できる。土地利用、沿岸部の崩壊、沿岸部のマングローブ林、陸源汚染、近海の養殖産業などの状況といった近海や沿岸などの地域状況や人間活動の影響も研究できる。また、生物多様性や生態系、居住環境、都市開発などの状況の研究も可能だ。

 広目衛星の打ち上げ成功は、中国の科学技術分野におけるSDGs達成に向けた努力と貢献を際立たせている。衛星は軌道上で運行された後、そのデータ製品は全世界に共有され、国際社会、特に発展途上国の持続可能な開発研究へのデータ関連のサポートが可能になる。

 広目衛星システム総指揮の劉建波(Liu Jianbo)氏によると、広目衛星は現在、17のSDGsのうち、6つの目標にデータサービスを提供できる。将来的には、広目衛星は大量のデータを取得し、ビッグデータ、AI、ブロックチェーンなどの技術を組み合わせ、持続可能な開発にさらに貢献していくという。

「国内外の関連機関とともに、世界のデータ資源の効果的な獲得と共有を通じた、世界の持続可能な開発の不均衡や地域間のデジタルデバイドの縮小への貢献に期待している」と、郭主任は述べた。(c)People’s Daily/AFPBB News