【11月29日 AFP】新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染が疑われる患者を診察した南アフリカの医師は28日、約30人を診た結果、症状は軽く、入院することなく回復したことを明らかにした。

 この医師は、南アフリカ医師会(SAMA)のアンジェリク・クッツェー(Angelique Coetzee)会長で、AFPに対し、ここ10日間で約30人が検査で陽性と判明したが、これまでとは異なる症状を示していたと語った。

 患者の大半は40歳以下の男性で、ワクチン接種を終えている人は半数に満たなかった。患者は「極度の疲労感」を訴えたが、若者には珍しい症状だという。

 軽い筋肉痛や喉の痛み、たんを伴わないせきなどの症状も見られた。

 クッツェー氏は18日、患者約30人のうちの最初の7人を診察した後、保健当局に対し、国内で主流となっている「デルタ株」の感染とは異なる症状が認められたと報告した。その頃には、国内の科学者は新たな変異株の存在に気付いていたという。

 南ア当局は25日、オミクロン株を検出したと発表。それを受け、各国はアフリカ南部からの入国を制限した。南ア政府はこれに対し、「性急な」決定であり、不当だと反発している。

 クッツェー氏は、オミクロン株の病原性(発症させる能力)がまだ分かっていないにもかかわらず、「極めて危険な変異株」だと騒がれているのは残念だと語った。

 南ア政府のデータによると、ここ数日に報告された新型コロナ感染例のうち4分の3近くをオミクロン株が占めている。(c)AFP