【12月2日 People’s Daily】中国では、生産設備でのセンサーを使った遠隔運用や監視コントロール、スマートスピーカーのある生活、路上の監視カメラなど、経済や社会がデジタル化・スマート化へのアップグレードを加速するのに伴い、生活や生産の各分野で、「モノのインターネット」の影響が顕著になってきた。

 モノのインターネットはセンシング技術とインターネット通信技術を主要な手段とし、人・機械・モノをユビキタスに結びつけ、情報の感知・伝達・処理などを行うインフラである。

中国工業情報化省など8省庁が近頃、「モノのインターネット新型インフラ建設3か年行動計画(2021〜2023)」(以下「行動計画」)を発表した。2023年末までに国内の主要な都市に基本的な「モノのインターネット新型基礎インフラ」を建設する。

 近年、中国は積極的にモノのインターネット産業の発展を推進しており、全体に良好な趨勢(すうせい)と、強力な発展ポテンシャルを見せている。推算によれば、「第13期5か年計画」末期、中国におけるモノのインターネットの産業規模は2兆4000億元(約42兆円)前後であり、「第13期5か年計画」の初期に設定されていた1兆5000億元(約26兆円)の目標値を超えた。

 現在までに中国がモノのインターネット分野で出した基準は370あまりにのぼり、モノのインターネットの概念やテクニカルターム、インターネット技術の規範やアプリサポート、試験などの技術的要求を明確にしている。

 製造業分野では、遠隔運用やエネルギー・安全性の監視コントロールなど、モノのインターネットを取り入れた新型モデルが登場している。都市管理の分野では、映像による監視コントロールや環境の観測、スマート技術を使った煙探知機や街灯など、設備面での応用が進んでいる。

 しかし目下、中国のモノのインターネットはコア技術の自主化のためにまだ長い道のりが必要だ。国内モジュラープログラミング製品の集積回路はまだ海外企業からの供給に頼っており、ハイエンドなセンサーの輸入依存は深刻である。モノのインターネットの操作システムのコア部分や安全、低電力エレクトロニクスなど、コア技術研究に力を入れることが課題と言える。

 この弱点に対して工業情報化省の関係者が語るところによれば、「行動計画」が焦点としているのはコア技術のブレークスルーであり、技術の融合とイノベーションを進め、コア技術を掌握することを目指すという。そしてイノベーション能力の高い企業に、スマートセンサーや新型の短距離通信技術、高精度のGPSなど新技術の開発研究を担当させるそうだ。

 中国通信院業インターネットおよびモノのインターネット研究所の羅松(Luo Song)副所長によれば、「行動計画」は市場を主体とした育成を意図しており、モノのインターネット分野における企業の成長は非常に高い価値を生む。中小企業に対してもリーディングカンパニーとの結びつきを深め、技術・資金・人材など資源配分の最適化によって成長を促し、新産業のイノベーションと発展に寄与することが期待されている。(c)People’s Daily/AFPBB News