【11月22日 CGTN Japanese】世界経済の3割を占める「域内包括的経済連携(RCEP)協定」の正式発効を来年1月に控える中、中日の学識者はRCEPの発効が両国の経済・貿易協力および世界経済の回復に重要な促進効果があるとポジティブに評価しています。

 21日、「RCEPと中日の経済・貿易協力――問題と展望」をテーマに、両国の学識者がリモートで参加するシンポジウム(中国教育部国別・地域研究基地北京外国語大学日本研究センターなどが主催)が開かれました。RCEPの発効が両国の経済・貿易協力にもたらすチャンスと課題、また、発効による中国のCPTPP加入申請への影響をめぐり、意見が交わされました。

 席上、中国社会科学院日本研究所の楊伯江所長は「RCEPはアジア太平洋地域協力の大きな進ちょくとして、アジア、とりわけ中日間協力の新たなスタートラインとなり、両国の経済・貿易協力を推し進める上で重要な契機となる」と示しました。

 一方、日本の公益財団法人「環日本海経済研究所(ERINA)」の河合正弘代表理事・所長(東京大学名誉教授)は、「さらなる市場開放、国有企業改革、産業補助金の縮小・撤廃、労働基準条約の追加批准・実行、データのフリーフローなどを視野に、中国のCPTPP加盟に向けた日中協議がWTO改革につながる」として、岸田文雄新政権が日中経済協力を推進すべきだと訴えました。

 企業代表として出席した丸紅(中国)有限公司の鈴木貴元経済調査総監は、「RCEPでのサービス貿易や投資の規制緩和は、日本企業の海外への関心を高めるのと、実際に投資が増えて日本企業のバイタリティーを高めるために重要だ」と示しました。そのうえで、「RCEPの課題は制度の範囲よりも、アジアを一体化しなければというモメンタム(勢い)にかかっている」と指摘し、「アジア人として、アジアは対立ではなく、まとまる方向に行くことを願う」と強く訴えました。

 中国社会科学院日本研究所の張季風前副所長は、中日両国がRCEPの発効により、初めて自由貿易協定で結ばれることに着眼し、「発効後、中日両国の経済・貿易は非経済要素がもたらすリスクへの対応能力を高め、長期かつ安定した中日経済・貿易関係への見通しが高まるだろう」と述べ、両国がその方向に向かって共に努力すべきだと呼びかけました。

 工業製品を中心に9割超の品目で関税が撤廃されるRCEPは、2020年11月に、日本、中国、韓国、ASEAN、豪州、ニュージーランドの15か国の間で署名され、2022年1月に国内手続きを完了した10か国の間で発効される見込みです。世界のGDP、貿易、人口に占める比率が高く、かつ東アジアのサプライチェーンをカバーする世界最大級の経済圏が形成されることで注目されています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News