【11月21日 AFP】(写真追加)中国女子テニスの彭帥(Peng Shuai)が、同国の前副首相から性的関係を強要されたと告発して以来消息不明になっている問題で、国営メディア環球時報(Global Times)の編集長が20日、彭が笑顔で元気に過ごしているとする動画2本を投稿した。

 彭の所在に関する情報を求める国際社会の声が高まる中、中国共産党機関紙・人民日報(People's Daily)系の環球時報で編集長を務める胡錫進(Hu Xijin)氏は、ツイッター(Twitter)に2本の動画を投稿した。

 そのうち1本は、コートとニット帽、マスクを着けた彭がレストランに入っていくように見える動画、もう1本はマスクを外した彭が、周りの人たちと談笑しながら食事を取っている動画となっている。

 AFPでは動画の真贋(しんがん)を確認できていないが、胡編集長は2本目の動画について、「彭帥がレストランでコーチ、友人と食事を取っている。動画の中身は明らかに、北京時間の20日に撮影されたものだ」と説明している。

 この動画について、女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン(Steve Simon)最高経営責任者(CEO)は、彭の姿を見られて「うれしい」と話しつつ、「これだけでは彼女が自由なのか、また強制されたり、外部からの干渉を受けたりせず、自分の行動を自分で決められるのかは不明だ」とコメント。「この動画だけでは不十分」と述べ、「こちらの要求は明確で、われわれと中国との関係は岐路を迎えている」と主張した。

 彭の所在については、米英政府や国連(UN)など、テニス界の内外から情報を求める声が高まっており、20日には男子テニスの重鎮ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)も英スカイニューズ(Sky News)に対して「彼女はチャンピオンの一人で、元世界1位だ。間違いなく心配だ。無事を願っている」と話した。

 中国側は、この件に関するコメントを繰り返し拒否している。(c)AFP/Sebastien RICCI