【11月17日 CNS】新石器時代の仰韶(Yangshao)文化発見と現代中国考古学の誕生100周年を記念する大会が先月17日、中国・河南省(Henan)三門峡市(Sanmenxia)で開幕した。習近平(Xi Jinping)国家主席は祝福のメッセージを寄せ、100年にわたる考古学が「中華文明の起源と発展の道のり、世界文明への重大な貢献を明らかにし、長く深遠な中国文明をより認識していく上で重要な役割を果たしてきた」と称賛した。

 1921年、スウェーデンの考古学者ユハン・グンナール・アンデショーン(Johan Gunnar Andersson)氏が河南省(Henan)の仰韶村遺跡の調査を指揮。36日間で多くの陶器や石器、骨角器(動物の骨で作った道具)、蚌器(貝殻で作った道具)などを発掘し、科学的手法による現代考古学を構築した。中国の考古学は小さな山あいの村から全国に広がり、今につながる考古学ブームを引き起こした。

 博物館は考古学の「情報端末」の一つとして近年、隆盛を極めている。2013年以降、平均して2日おきに新しい博物館が誕生。1978年に全国で349か所だった博物館は2019年末時点で5535か所が登録されている。25万人に1つの割合で博物館がある。

 今年3月には四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)にある3000年前の三星堆(Sanxingdui)遺跡で、黄金仮面の破片や巨大な青銅仮面、青銅製の神聖な木、象牙など500を超える重要な遺物が見つかったと発表された。そのニュースが流れると全国から観光客が三星堆博物館に集まり、予約客は前月比で約12倍に増加した。3月27日だけでも9000人以上が博物館に入館し、チケット収入は博物館設立以来2番目に多い51万元(約913万円)に達した。

 近年の博物館ブームは、多くの考古学的発見が引き起こした。江西省(Jiangxi)南昌市(Nanchang)では前漢(西漢)の諸侯の墓である「西漢海昏侯墓」の発掘調査が2016年に完了し、海昏侯墓の展示館と公園が整備されると1日あたりの来場者は2万2000人を超えた。 2017年には四川省眉山市(Meishan)で川底に沈んだ「江口沈銀」の調査が行われた。明朝末期に農民反乱軍を指揮した張献忠(Zhang Xianzhong)の船が政府軍の攻撃で財宝ごと沈没し、川底の2万平方メートルの遺跡から3万点以上の遺物が発掘された。2018年に関連の遺物が中国国家博物館に移されて展示会が開かれると、チケットの入手が困難となるほどだった。

 最近の考古学熱は、「目で楽しむ」だけでなく、「手で感じる」ようになっている。浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)で1936年に発掘された良渚(Liangzhu)遺跡(2019年に世界遺産登録)は今も調査が続き、ボランティアも参加。2020年にボランティアを募集した14回の取り組みはすべて満員となった。多くの小学校で体験学習が行われ、若者たちが発掘を通じて伝統文化を体験している。

 発掘調査を疑似体験できる「考古学ブラインドボックス」も人気だ。「盲盒(ブラインドボックス)」とは購入して箱を開けるまで何が入っているか分からない「中国版ガチャガチャ」で、若者の間で新しい娯楽として浸透。考古学ブラインドボックスは、歴史的遺物のミニチュアを埋めた土が入っており、付属のミニスコップなどを使い少しずつ掘り起こすのを楽しめる。河南博物館は最近の10か月で約36万個を販売。売り上げは3000万元(約5億3711万円)を超え、カナダにも輸出している。

 考古学に関連し、古代の墓に入った主人公が奇想天外な冒険の旅を展開する「盗掘小説」も生まれている。天下霸唱氏の「鬼吹灯(英題:Ghost Blows Out the Light)」シリーズや南派三叔氏の「盗墓筆記」はオンラインドラマにもなり、閲覧数は数千万件を超えている 。

 広州市(Guangzhou)にある西漢南越王博物館の全洪(Quan Hong)館長は「近年の考古学ブームは、中国の人々が徐々に自国文化に自信を深めていることに関係している」と説明。「古代遺跡に関心を持つ人がますます増えることは、祖先が築いた文明の価値をさらに発揮させる」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News