【11月16日 AFP】アフガニスタンで実権を握るイスラム主義組織タリバン(Taliban)は15日、現在直面している食糧危機は前政権の「遺産」だとし、国際社会は支援の約束を守っていないと非難した。

 アフガン経済は国際社会からの支援に大きく依存していたが、タリバンが8月に実権を掌握すると、これらの支援は停止された。

 国連(UN)は、地球温暖化による干ばつやタリバンの実権掌握による経済危機の悪化から、アフガンの人口の半分に相当する2200万人前後が今冬「深刻な」食糧不足に直面すると警告している。

 タリバン暫定政権で副保健相を務めるアブドル・バリ・オマル(Abdul Bari Omar)氏は会見で「前政権から遺産として残された極めて重要な問題がある。栄養失調だ」と語った。

 オマル氏は、5歳未満320万人が年内に深刻な栄養失調に陥る恐れがあるとの世界食糧計画(WFP)の統計を引用し、米国が支援した前政権は大惨事を防ぐための十分な措置を講じなかったと非難した。

 さらに、保健分野については20年にわたり海外からの援助に頼っていたが、医療インフラの整備など基本的なことはなされなかったと述べた。

 オマル氏は「世界銀行(World Bank)、欧州連合(EU)、米国際開発局(USAID)はアフガニスタン国民との約束を果たしていない」と非難。「これらの機関はアフガニスタン国民に(支援を)約束した。医療と政治は別だとしていたが、政権が変わった途端、全てが政治問題になってしまった」 (c)AFP